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00【補完代替医療の記事】(Medical Tribune Vol.30, No.23,)記事
代替医療を考慮した医療が必要に
〔ニューヨーク〕 オレゴン州ポートランドのNancy C. Elders博士らが『Archives of Family Medicine』( 6:181-184)に発表した調査報告によると,家庭医の患者の約半数はなんらかの代替医療を経験しているが,ほとんどの患者はそのことを医師に伝えていないという。
50%が代替医療経験あり
今回の調査は,オレゴン州ポートランドの家庭医の患者113例を対象に行われ,57例(50%)がカイロプラクティック,鍼,薬草,ホメオパシーといった“非伝統的”な治療を少なくとも 1 度以上は受けたことがあると答えた。しかし,そのうち30例(53%)は代替治療について自分のかかりつけの医師に話したことがないと答えた。
Evergreen Clinic(ワシントン州エドモンズ)の家庭医,Jennifer Jacobs博士は「医療の継続性という点からも,患者がどのようなケアを受けているかを知ることは,すべての医療提供者にとって重要だ。患者は現実に代替医療を利用しているのだから,そのようなさまざまな治療について学び,患者と話し合うことができるようになるのは医師の責任だ」と語った。
フィラデルフィアの内科専門医学会の理事であるMarc S. Micozzi博士によると,今回の知見は全米の現状を反映していないかもしれない。同博士は「サンプルサイズが小さいうえに,オレゴン州の住民は新しい治療法に対する拒否反応が少ないので,代替医療を受ける人の率も(全米の平均より)高いかもしれない」と述べた。それでも,代替医療について家庭医と相談しない患者が多いことについては懸念を表明する専門家は多い。Elders博士らは「代替医療提供者が出す薬草,ビタミン剤などの治療法(薬)は無害ではない。ある種の病状を悪化させたり,家庭医が処方する薬剤と相互反応を起こす成分が含まれている場合もある」と記している。
『Fundamentals of Complementary and Alternative Medicine』(Churchill Livingstone)の編集を担当したこともあるMicozzi博士は「ある種の薬草は薬剤の吸収に影響を与え,副作用を生じさせたり,禁忌となることもある。自然を歌い文句にした治療法に対する患者の関心は高まっているので,医師もよく勉強しなければならない」と語った。
ガイドライン作成は不可能
Jacobs博士は,代替医療を用いた場合の大きな危険性として,重大な疾患が診断されずに見過ごされる可能性があると述べ,さらに「代替医療の提供者が医師であればそのようなことは起こらないはずだ」と付け加えた。米国立衛生研究所(NIH,メリーランド州ベセズダ)のOffice of Alternative Medicineが招集した専門家委員会は,同じ号の『Archives of Family Medicine』で,現時点では適切なデザインのもとに行われた臨床試験による科学的データが不十分なので,代替医療の使用法に関するガイドラインを作成することは不可能だ,と報告している。
キーワード 【補完代替医療のオレゴン州での記事】
01【日本補完・代替医療学会】
(The Japanese Society for Complementary and Alternative Medicine and Treatment:略称 JCAM)
設立 :平成9年2月1日
代替医学・医療の定義
現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床的応用の医学・医療体系の総称。
日本補完・代替医療学会の沿革
平成2年7月に代替医療研究会が発足。以後 8回の研究会開催を母体に、第一回日本代替医療学会
へと発展した。以後、2回の学会を経て、平成12年4月1日に、日本補完・代替医療学会に学会名を
変更し今日に至る。
当学会は、基礎的・臨床的研究を行なう代替医学とそれを実践する代替医療とからなる。
学会の目的
本学会は、代替医学領域における基礎的・臨床的研究の促進と情報の収集・交換をはかり、
代替医療の進歩・普及・発展に寄与することを目的とする。 以上JCAM規約より
キーワード 【日本補完代替医療学会の概要】
02【日本補完・代替医療学会のポリシー】Alternative Medicine(代替医学)について
代替医学・医療とは一般の方には、今まではなじみの少ない言葉でした。平成9年
しかし、最近では医療関係者より一般の方々のほうが関心が高いように思われます。2000-11/5現在
その定義についてもいろいろ議論されていますが、日本代替医療学会では、
[現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称]
と定義しています。
アメリカでは、alternative medicine(代替医学)またはalternative and complementary medicine
(代替・補完医学)という言葉が使われています。また、ヨーロッパでは、complementary medicine
(補完医学)という言葉が好んで使われることが多い様です。
しかし、なかには現代西洋医学と同等かあるいはそれを凌駕する医療が存在する以上、当学会はalternative medicine(代替医学)という用語を用いることとしました。いずれにせよ、通常の医学校では講義されていない医学分野で、通常の病院では実践していない医学・医療のことです。
近年、新聞、雑誌、テレビ、インターネット等をはじめとする高度情報化の情勢もあって、これら代替医療を求める患者が我が国でも急増しています。一方、他国においても同様な状況が見られ、代替医療が世界的に新しい医学の潮流となりつつあります。アメリカにおいては、1992年米国議会がNIH(米国国立衛生研究所)内において世界的な最先端医学研究施設の一つとしてOAM(代替医療事務局)を設立し、現在、OAMには年4千万ドルの資金が充てられています。OAM設立以来、この分野の科学的研究は急速に進み、ハーバード、コロンビア、スタンフォード大学など10ケ所に、研究センターが設立され、一部学生に対する講義も始まっています。
代替医療の範囲は広く、世界の伝統医学・民間療法はもちろん、保険適用外の新治療法をも含んでいます。さて、人口比率からみると現代西洋医学の恩恵に預かっている人達は意外に少なく、国連世界保健機関(WHO)は世界の健康管理業務の65から80%を“伝統的医療”と分類しています。つまり、これら伝統的医療が西洋社会において用いられた場合は代替医療の範疇に含まれることになるわけです。
代替医療とは具体的には
- 中国医学(中薬療法、鍼灸、指圧、気功)
- インド医学、免疫療法(リンパ球療法など)
- 薬効食品・健康食品(抗酸化食品群、免疫賦活食品、各種予防・補助食品など)
- ハーブ療法、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、精神・心理療法、温泉療法、酸素療法
等々すべてが代替医療に包含されています。
確かに、これらの中には、非科学的であり西洋医学を実践する医師にとっては受け入れ難い内容のものもありますが、作用機構や有効性が科学的に証明されているものが急増しているのも事実です。国立図書館医療目録データベース(MEDLINE)において“代替療法”の名での引用は、1966年以来、年12%の割合で増加しており、在来医療の文献の増加率の約二倍であることがそれを裏づけています。
我が国には残念ながら代替医療に取り組む政府機関や代替医学講座を持つ大学はなく、この分野では欧米に比し遅れていると見る向きもあります。しかし、実は代替医療を最もよく実践している国が日本だと考えられます。日本では古来より中国薬用植物療法を取り入れ“漢方薬”として使用してきた歴史があり、また世界的に見ても漢方薬を保険薬と認めている数少ない国の一つです。また、鍼灸、柔道整復などの東洋医学も保険適用となっており、多くの患者が日常的に利用しています。一方、アメリカにおいて鍼が医療器具として認められたのはつい昨年(平成8年)のことです。
医療制度の崩壊が叫ばれている今日においても、我が国は最新・最鋭の現代西洋医学を実践している国であることに変わりはありません。代替医療は、概して毒性が少なく、また患者に対して侵襲の少ない治療法であり、これまで諦めらめていた難病の患者さんにも朗報をもたらすものです。また、薬品による副作用、環境汚染、経済問題、医師に対する不信感など今後21世紀の諸種の医学の問題点を解決し、かつ医療の質の向上に大いに貢献するものと期待されます。このように、患者にとっては、すばらしい選択肢が与えられることになりますが、逆に現代西洋医学を完全に否定し、超自然主義を唱えて科学的根拠のない治療法を押し付け、原始時代へ逆行する愚かなことは当然避けるべきことと考えます。
キーワード 【補完代替医療の事・jcam学会記事に追記;吉利】
03【第1回日本補完・代替医療学会総会】科学ジャーナリスト林 義人氏の文から抜粋
第1回日本代替医療学会報告 高まる「新しい医療」への期待
97年11月21〜23日の3日間、金沢市で開催された「第1回日本代替医療学会は主催者側からも驚きの声があがるほど、大きな規模となった。食品の薬効に関する最先端研究の成果も次々発表され、学術的にもきわめて価値の高いものとなっている。「代替医療」の波は確実に大きくなり、新しい時代の医療がまさに萌芽しつつあることを感じさせた。
事務局の予想を上回る盛況ぶり
91年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)が、代替医療局を発足させるなど、欧米では代替医療の見直しがさかんに進められている。国内でもこうした海外の動向にリンクする形で「代替医療」を標榜する動きが数多く出現しているところだ。これに対して、本学会は代替医療を科学的な手法を用いて洗い直そうという地域オリエンテッドな研究を基点としているわけである。日本の代替医療研究の「元祖」ともいうべきであろう。
代替医療に関する日本初の学術会議となった「第1回日本代替医療学会」が大きな注目を集めたのは、むしろ当然のことといえるかもしれない。食品の薬効成分の再認識、病気の予防や治療を目的に「薬効食品の医療への応用」をテーマ}にした本学会は、ふたを開けてみると、事務局の予想さえ上回るほどの盛況ぶりだった。医学部、薬学部、理学部、農学部などの大学関係者や病院関係者をはじめ、栄養士、柔道整復士ら会員約300名と一般市民を合わせて約1300名が参加している。立ち見が出るほどの混雑したシーンもあり、集会の初日は受け付けの事務処理が滞って開会が遅れるほどだった。代替医療への注目度の高さを示し続けた3日間だったといえる。
現代医療の限界性を忌憚なく指摘
「この学会は中国医学、アーユルヴェーダ等のインド医学、民間療法等の幅広い代替療法を単に集積するものでなく、この中から選択、検証し、公開することで国民の医療に貢献、医療の質をあげることが目標です」日本代替医療学会副会長で、カリフォルニア大学サンディエゴ校ガンセンター客員教授の鶴純明医学博士は基調講演の中でこのように述べた。
金沢大学医学部の鈴木信孝院内講師は、現代医療の中での代替医療の立場と役割を説く『日本の代替医療の現状』を講演した。
パネルディスカッションで愛媛大学医学部の奥田拓道教授は、次のように問題提起をしている。
「医学部、薬学部では食品学、栄養学を学ぶ機会がない。ほとんどの医師は栄養学に無知である」
「どんなに医学は進んでいるとはいえ、99%は未知の世界。学校を出たからといって病気を治せるという考え方には無理がある」
「医者の世界では人間の病気を治すよりラットの病気治療に長けている人のほうが出世する」
これまで多くの医療者が心の中で思っていながら言葉にできなかったことも、代替医療の世界では忌憚なく発言できる。多くの医師が参加する集会でありながら、現代医療の矛盾や限界性を突く発言や講演が相次ぎ、会場を沸かせた。
背景にある生命観へのアプローチ
外国から招いた講師も混じえた招待講演や特別講演では、学会のテーマである「薬効食品」が次々紹介される。
演題にあがったのは、カテキンやひまわり種子、フランス海岸松樹皮抽出物、発酵食品、イチョウ葉エキス、大麦若葉、さらに各種キノコやその抽出成分など。特にその機能性を抗酸化作用から説明するものが目立っている。一方では、単に食品の化学成分だけ問題とするのではなく、代替医療としての背景から説こうとしたものもあった。
例えば『インド伝統医学とゴマの薬効』を講演した北里研究所BIセンターの上馬場和夫室長は、インド伝統医学のアーユルヴエ一ダで用いられるゴマ油の作用を紹介している。「アビヤンガ」と呼ばれるゴマ油マッサージは、免疫力を高め、恒常性維持機能を強化するという。最近の医学研究により、ゴマ油の中のリグナンには強い抗酸化作用があることがわかってきたという。上馬場室長は「注目すべきはアーユルヴェーダでは、薬の病気への作用ばかりでなく、体質など病人自身の問題の双方を考慮することで、治療の効果を高め、副作用を減らすということを教えていること・」すなわち、伝統医学の持つ食品の薬効は、その医学の持つ生命観まで含めて論じ、温古知新の期待に応えてくれそうである。と結んだ。
おのむら医院の小野村健太郎院長は、『アロマセラピーは代替医療の星となり得るか』を講演した。
キーワード 【第1回総会の評;林氏報告文を一部抜粋引用】
04【第2回日本補完・代替医療学会総会】科学ジャーナリスト林 義人氏の報告文から抜粋
1999年10月10、11日の2日間、第2回日本代替医療学会学術集会が開催された横浜市のイベント会場「パシフィコ横浜」は、新しい医療への熱い思いとホットな情報に溢れていた。今年の参加者は医療関係者ばかりでなく、一般の人々の姿が目立つようになっている。そして、臨床や学術研究を進めている諸先生方からは数多くの貴重な報告され、注目すべき新しい知見がいくつも示されていた。すでに代替医療はトレンドやブームではなく、現代医療の中ではっきりと役割と期待を担うようになっていることを感じさせた二日間である。
「五感を活かした代替療法」という今回のメインテーマは、魅力的に感じられた。
会長挨拶に続き、金沢大学医学部の鈴木信孝講師院内講師・ハルピン医科大学客員教授が、「代替医療の海外での現状」をテーマに基調講演した。
我々がメジャーと信じている医療は、じつは世界規模で見てみるときわめて限られた人たちにしか利用されていないマイナーなものだったことを示す現状が、次のように紹介される。「人口比率からみると我が国のように西洋医学の恩恵に預かっている人達は意外に少なく、国連世界保健機構(WHO)は世界の保健業務の65〜80%を“伝統的医療”と分類しています。つまり、これら伝統的医療が西洋社会で用いられた場合はすべて代替医療の範疇に含まれるわけです」
OAMの調査で我々が科学の最先端を歩んでいると思いこんでいるアメリカにおいても、成人の4割が代替医療を利用していることがわかったというデータが示された。アメリカではすでに一部健康保険会社は代替医療を給付対象にしつつあるという。
学術集会の二日目に、京都府立医科大学の今西二郎教授は、「代替医療の現状と将来」と題する特別講演を行った。この中で欧米での代替医療の浸透ぶりが紹介された。
「カナダでは、15%(約三三〇万人)が、何らかの形で代替医療を利用。イギリスでは10人に1人が代替医療を受けているといわれ、フランスでは3分の1以上の人々が代替医療を利用していると報告されている。」
西洋医学と伝統医学が別路線を歩む韓国の報告
韓国代替医学会会長で、自然治療医学研究センター長オー・ホンクン神経科クリニックのオー・ホンクン院長が「韓国における代替医療の現状」をテーマに招請講演に立った。オー先生は韓国の医療制度では、西洋医学(西医)が「韓医学」と呼ばれる伝統医学と完全に分断されている実情を話した。
EBMを背景にした「感性医療」の報告
今回の日本代替医療学会学術集会では、「五感を活かした代替療法」というメインテーマに沿って「代替医療における感性福祉の役割」、「アロマテラピーが心とからだを癒す本当の理由」といったシンポジウムが設けられている。そこにはEBM(evidence−based alternative medicine=科学的根拠に基づく代替医療)の考え方を背景にして、有効性を示す学術報告があった。
東北福祉大学感性福祉研究所の川上吉昭氏は、「身体歪みのもたらす生理学的、生化学的変化」を講演。
同志社女子大学学芸学部の稲田雅美氏は、「音楽の精神療法的活用」を論じた。
京都大学大学院人間・環境学研究科の家森幸男教授は、「現代の医食同源」を論じた。
キーワード 【科学ジャーナリスト林 義人氏の第2回総会報告文から抜粋】
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